ゴン太とねこ
閑静な住宅街
ゴン太という野良猫がいました
いつものようにぶらぶらしていると
「ニャーーー!!」
上の方から叫び声が聞こえました
声のする方を見てみると
真っ白で大きな豪邸がありました
すると今度は人間のなにかを叱りつける声が聞こえてきました
途端にニャーという叫び声は消え
そこにはまた閑静な空間が広がりました
ゴン太はのろのろと歩き出しました
翌る日
ゴン太はぶらぶらしていました
今日はなにも食べてないな、お腹が空いたな
夜も更け、閑静な空間はより一層濃くその静けさをまとっていました
「にゃあ」
後ろから小さな声がしました
振り向くとゴン太はあの豪邸の前にいて、そこには見たことのない毛並みの綺麗な猫がいました
「にゃあ」
彼女はこちらをじっと見てもう一度小さく言いました
ゴン太はこの家の猫だ、と確信すると
「ついてきな」
と言い、走り出しました
彼女もそれにつられるように走り出しました
静かな夜の街
小さな足音を2つ奏でてなにも言わず走りました
どれくらい経ったでしょうか
気づけば辺りが薄っすら見える明るさになっていました
2人は海を見ていました
ねこは不思議そうに前を見ていました
丸い目を更に丸くして、前を見ていました
ねこは言葉を話せないようでした
でも毛並みは手入れされていて
座り方も綺麗で
「ここにはあんたが今まで食べてきたようなご馳走はないし、ふかふかのベッドもない。でもたくさんの仲間もいればこんなに広い海もあるんだ。
こっちでこれからずっと遊ばないかい」
ねこはしばらくしてこっちを振り向きました
なんだかよくわからないといった表情で
「にゃあ」
と小さく言いました
ゴン太とねこ
柑ちゃんのおはなし
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